ゆとり教育とは

 「ゆとりの中で生きる力を育む」とは、「せかせかと知識を詰め込む学習」に対して、「じっくりとりくむ学習」を促すことであると、私はつねづね主張してきた。
 「生徒たちを勉強から解放して楽にしてあげよう」というのとも、「時間的な余裕をつくってそこで反復学習をさせて定着させよう」というのとも異なる趣旨と考えている。そうした解釈では、「生きる力」を育むことに結びつかない。
 新教育課程では、わかりやすい授業と家庭学習を含めた学習支援に力を注ぐ一方、知識・技能を生かす活動の場を設けることが求められる。
新しい時代を創る生徒を育てる教育とは、わが国の伝統的な教育の「転換」や「清算」によってもたらされるものではなく、そのよさを生かしながら広がっていくものと捉えたい。

「学力低下論争」
ちくま書房
2002.8 p.244
市川伸一
(東京大学教授)


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