【学習意欲】
   〜中 略〜
以上の調査やコメントは、今日の“偏差知的学力”獲得競争に焦点づけられた「学習意欲」の病理の本質をついている。
すなわち、平準化された能力の序列化(輪切り)のなかでの“順位”争いという学習過程で、子どもたちは学習すればするほど“自己自身の現実的世界との出合い”(学習に対する動機や意義)の場が狭められ、真当な“学習意欲”(学習対象への主体的な構え)を減退させていっているのである。
 事実、他の調査によれば、学年が進むにつれて、また「受験」を終えてしまうとよりいっそう「授業離れ・教科書離れ」が進行し、そこではむしろ「学力無視ないし学力拒否的状況」がみられるという(駒林邦男「子どもにとって学校とは何か」『岩手大学研究年報』第50巻・2号)。
 つまり、彼らの“学習”への動機・努力を支えているものといえば、“合格”と他者との競争という“外的”目的(学力の交換価値)なのだから、ひとたびその価値(合格)を手にすれば、身につけた“学力”は直ちに剥落さしてしまう性格のものとなっている。したがってまた、“ワガモノ”としての学力(本来的価値)についての不安・不信は消えることはない。まして、他者との共感や連帯心などは育つはずはない。

教育展望 '94.3月号 P.5..6
「主体的な学習活動の組織化」
今野 喜清(早稲田大学教授)


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