日本音楽教育学会第５号「音楽的成長から人間的成長へ」

美田 節子

音楽教育の意義と目的
音楽教育と言われる限りにおいては、音楽でしか成しえない教育的な役割りがあるはずである。それがあるからこそ、正規の教育の場に音楽が認められるのである。その役割りを果たす所に、音楽教育の意義があり、独自の目的が達成されるのである。

PP.71

私達に潜在する音楽的可能性（それが音楽性とか、音楽的能力とか、音楽的反応とか呼ばれるものであるが）それを、各々の人間に適した方法で、出来る限り最大限に発達させることが、音楽教育に与えられた独自の役割りであるが、それが即ち、音楽教育の直接の目的である。

PP.72

音楽によって、まず私達が音楽的にどう変わってくるかということであり、（それが音楽的成長であるが）そのための意図的努力が、すなわち音楽教育である。

PP.72

学習者が音楽的にどうなって来たかということであり、音楽で何ができるようになったかではない。

PP.72