開かれた学び

 教育心理学では従来、外発的動機づけ・内発的動機づけという枠組みの中で、外からの賞罰による統制と、知的好奇心や向上心を重視する考え方との問で教育論が戦わされてきた。
 しかし、現在の子どもたちは、そのどちらでも学習に向かっていきにくいといぅ悩みがある。大人からの賞賛・叱責、経済的報酬、学歴などを学習に伴わせても効果は少ない。
要するに、それほど「困っていない」状況なのである。
また、いくら「楽しい」、「おもしろい」授業を工夫しても、世の中にはほかにも楽しく、チャレンジングなことがたくさんあり、学校での学習内容に興味を向けてくれない。
そこで、学ぶことの意義をあらためて捉え直すために、「開かれた学び」というのが重要なコンセプトになっていると思われる。
「開かれた」とは何に対して開かれているのかというと、
@学校時代の学習に閉じることなく、自分の将来に対して開かれていること
A教科学習に閉じることなく、より広い知的活動に対して開かれていること
B学校という場所に閉じることなく、地域や実社会に開かれていること
ということになる。

 学びを開くことによって、子どもにとって、学ぶことは「ひとごと」 でなく、「なりたい自己」と「なれる自己」を広げるという文脈に位置づけることができる。

「学力低下論争」
ちくま書房
2002.8 p.237..238
市川伸一
(東京大学教授)


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